「さばいてはいけません」とは、どういう意味ですか。
「さばいてはいけません」とは、どういう意味ですか。どんな場合でも、さばいてはいけないのでしょうか。
マタイの福音書7:1〜2には、
「さばいてはいけません。さばかれないためです。あなたがたがさばくとおりに、あなたがたもさばかれ、あなたがたが量るとおりに、あなたがたも量られるからです」
とあります。これは、裁きに関する一般原則です。この教えが語られた文脈を考えながら、その意味を理解する必要があります。
(1)イエスは山上の垂訓(マタイの福音書5章〜7章)において、口伝律法(ミシュナ)を否定しておられます。パリサイ人たちは、モーセの律法の外側に多くの規則や伝統を作り上げていました。これを口伝律法と言います。イエス時代になると、この口伝律法が人々を束縛するようになっていました。
(2)「さばくな」という命令は、口伝律法に基づいてさばくなという意味です。当時は、口伝律法にどれくらい従っているかで、その人の霊性が評価されたのです。これは、聖書の教えを逸脱した行為です。口伝律法で人をさばくなら、自分も同じ口伝律法でさばかれることになります。しかし、すべてのさばきは、聖書に基づいて行われるべきなのです。
(3)「さばくな」という命令は、いついかなる場合でもさばいてはならないという意味ではありません。「さばく」とは、物事の理非を判断することでもあります。そういう意味での判断が必要な場合があります。①教会内の罪、②教会内の争い、③教理上の間違い、などがそうです。いずれの場合も、放置すると深刻な結果を招くことになります。
(答えた人:牧師 中川健一)