サンヘドリン(さんへどりん)

 ローマ帝国時代にユダヤを治めていた宗教的・政治的自治組織。ユダヤ議会。

(1)ユダヤ教のラビ伝承では、サンヘドリンはモーセが神の命令によって召集した70人の長老に起源を持つとされている(民数記11:16)。

(2)サンヘドリンは、神殿内に召集される71名の議員から成っていた。議長職に就いたのは、世襲制の大祭司である。

(3)議員は、三つのグループから構成されていた。サドカイ派出身の祭司グループ、パリサイ派(書記、賢者などと呼ばれた人たち)グループ、一般人グループ。福音書では、「祭司長、律法学者、長老」としてこの三つのグループが登場している。ニコデモはパリサイ派のグループに、アリマタヤのヨセフは一般人のグループに属していた。

(4)会合は、安息日や祝祭日には禁止された。平日の会合は、朝のいけにえを捧げる時から夕刻のいけにえを捧げる時までであった。

(5)サンヘドリンは裁判権を行使した。また、直属の警察を持ち、刑の執行を行なうことができた。ただし、イエスが裁判にかけられたころには、死刑宣告をする権限はローマによって剥奪されていた。

(6)サンヘドリンはこのほか、神殿祭儀の指導監督を行ない、祭司や裁判官の任職権も持っていた。新月とうるう年を宣言して、全世界のユダヤ人祝祭日を決定する権限も有していた。さらに、「最高律法教育機関」としての権能を果たしていた。

出典:クレイ聖書解説コレクション「マルコの福音書」