ヨベルの年(よべるのとし)

ヨベルの年とは、7年ごとに土地を休ませる安息年が7回巡った次の年、つまり第50年目の年を指します。

安息年が7回巡ってくると、第49年目となります。その年の第7月の10日(つまり、贖罪の日)に角笛を鳴り響かせ、ヨベルの年の到来を告げます。ヨベルとは、「雄羊の角」(ヨシュア記6:4)という意味です。翌年の第50年目が聖なる「ヨベルの年」となります。

(1)畑の休耕
第50年目の休耕を実施すると、49年目に続いて2年連続の休耕となります。従って、ヨベルの年の規定を実行するには、大変な信仰が必要となります。神は、イスラエルの民に、第6年目に3年分の収穫を生じさせると約束されました(レビ記25:21〜22)。

(2)売却されていた土地の返還
聖書には、土地は神に属するものであり、人はそれを預託されているにすぎないという考え方があります。従って、土地を売買する際にも買い戻しの権利が認められました。売主に余裕がない場合でも、ヨベルの年にはその土地は無償で売主のもとに返されました(レビ記25:10〜33)。したがって、土地の売買は、次のヨベルの年までの年数に基づいて、収穫高が値踏みされ、価格が決まりました(レビ記25:15〜16)。

(3)奴隷の解放
土地と同じく人も神の所有と考えられ、同胞を奴隷にすることは禁じられていました。貧困のためにやむなく身売りした場合は、その人は雇い人とみなされました。彼らもまた、ヨベルの年には解放されました(レビ記25:39〜43、54)。

 ヨベルの年の基本理念は、原状回復です。富の偏在が是正され、土地も人も神の所有であることが確認されました。しかし、旧約聖書の中には、この規定が実際に実行されたという記事はありません。

出典:クレイ聖書解説コレクション「レビ記」「イザヤ書」