高き所(たかきところ)
「高き所」とは、単に地理的に高い場所という意味ではなく、神を礼拝する場所を指す言葉です。
(1)カナンの先住民の農耕祭儀は、山の上で行なわれていました。また、実際に高い所でなくても、そこで祭儀が行なわれていれば、「高き所」という用語を用いていました。
(2)ソロモンの神殿が建設される前は、イスラエルの民も、「高き所」でヤハウェ礼拝を行なっていました(サムエル記9:12、10:5参照)。
(3)カナンの地での定住生活が長くなるにつれ、イスラエルの民は異教の祭儀(特にバアル礼拝)に巻き込まれていきました。そうなって以降は、「高き所」は偶像礼拝の場所を意味するようになります。
(4)南王国ユダの善王であるヒゼキヤ王は、偶像礼拝の罪を悔い改め、「高き所」を取り除き、石の柱を打ち壊し、偶像を切り倒しました。最後は、モーセの作った「青銅の蛇」まで打ち砕いています(列王記18:1〜4)。
(5)同じく善王であったヨシヤ王も、その宗教改革を「高き所」の破壊から始めています(列王記23:8、13、15参照)。
(6)イスラエルの預言者たちは、くり返し「高き所」が破壊され、ただの廃墟となることを預言しています。