ミルトス(みるとす)

てんにんか科に属する植物です。ヘブル語では「ハダス」と言います。

ミルトスの花

ミルトスは、パレスチナ地方の川辺によく見られる常緑の灌木で、高さは数メートルに及びます。また、葉や花が、芳香を放つことでも有名です。たくさんの黄色い雄しべが目立つ花をつけた後、青黒色の果実を結びます。この果実には、鎮痛効果があります。その芳香性や鎮痛効果のために、ミルトスは「祝いの木」として、祭りやめでたい行事の際の装飾品として用いられます。

(1)エルサレム近郊の山野にも見られたようで、仮庵の祭には、小屋造りにこの枝が用いられました(ネヘミヤ記8:15)。

(2)イザヤ書55:13には、「いばらの代わりにもみの木が生え、おどろの代わりにミルトスが生える。」という表現があります。これは、バビロン捕囚からの解放を指すと同時に、終末的な意味での祝福の描写となっています。つまり、のろいに代って祝福が臨むという意味です。

(3)エステル記2:7には、「モルデカイはおじの娘ハダサ、すなわち、エステルを養育していた。」とあります。つまり、エステルのヘブル名は「ハダサ」であり、これは、ミルトスのことだったのです。今でも、ユダヤ人の女性の中には、ハダサという名前の人がいます。