ナルドの香油(なるどのこうゆ)
ナルドというのは、専門的にはおみなえし科の宿根草です。現物は今日でもヒマラヤ山中の村々で栽培されています。ナルドの乾燥品は、漢方の甘松香(かんしょうこう)として輸入されています。
ベタニヤ村のマリヤが十字架を目前にしたイエスに注いだのは、このナルドから取れる香油です。この香油は香りの強いもので、ヨハネの福音書12章によれば、家中が香油の香りでいっぱいになったとあります。この香りは、簡単に消えるものではありません。イエスが移動するところどこにでも、この香りがついて行ったのです。
残念ながら、このナルドの香油、今ではすでに古典的香料の一つとなっており、簡単に入手できなくなっています。
出典:クレイ聖書解説コレクション「マルコの福音書」