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2019

07.29

Q.216 正典は誰が決めたのですか。

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聖書の正典とは、旧・新約聖書に収録された文書のことです。外典や続編と呼ばれるその他色々の文書もあった中、誰が現在の全66巻のみを正典と決めたのでしょう。決めたのは人間?それとも神様?

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Q. 質問

Q:私は、旧約聖書39巻、新約聖書27巻、合計66巻を、霊感を受けた神のことばと信じています。そのことを友人に話したところ、それは人間が決めたのだろうと言われてしまいました。聖書の範囲は、誰が決めたのですか。

A. 回答

A:キリスト教信仰は、聖書の上に乗っています。それゆえ、どこまでが正典であるかを定めるのは、極めて重要なことです。そこが曖昧だと、誤った教えを吟味する基準がなくなります。いつものように3つ申し上げます。

1番目に、聖書66巻の各書は、それが書かれた瞬間から神のことばです。

神は、御自身の計画を明らかにするために、さまざまな人物を選び、彼らに啓示の内容を書かせました。それゆえ、聖書の各書は、書かれた最初から神のことばなのです。ただし、どの書が神のことばであるかを人間が認識するためには、多少の時間がかかりました。つまり、聖書の範囲は、あるプロセスを経て決まったということです。

2番目に、旧約聖書の正典の認定は、主にユダヤ教のラビたちによって行われました。

新約聖書と比べると、旧約聖書の正典の認定は、さほどの論争なしに合意に至りました。ユダヤ人たちは、神から遣わされた預言者が誰であるかを見抜き、彼らが語る預言を神のことばとして受け入れました。イエスも、旧約聖書39巻の正典性を認定されました。 「まことに、あなたがたに言います。天地が消え去るまで、律法の一点一画も決して消え去ることはありません。すべてが実現します」 (マタ5:18)

 3番目に、新約聖書の正典の認定は、教会によって行われました。

  執筆直後から、神のことばとして認識されたものがあります。ペテロは、パウロが書いたものを神のことばと認めています(第二ペテロ3:15〜16)。また、パウロ書簡のいくつかは、諸教会で回覧して読むべき神のことばと認識されていました(コロサイ4:16、第一テサロニケ5:27)。時の経過とともに、正典と認識される書の範囲が広がっていきました。(1)紀元95年に、ローマのクレメンスは、8つの書を正典と認識しました。(2)紀元108年、ヨハネの弟子ポリュカルポスは、15の書を正典と認識しました。(3)紀元185年、エイレナイオスは、21の書を正典と認識しました。(4)論争を生んだ書は、ヘブル人への手紙、ヤコブの手紙、ペテロの手紙第二、ヨハネの手紙第二と第三です。(5)最終的に、紀元397年のカルタゴ会議で、新約聖書の27巻が認識されました。これは、人間が聖書の範囲を決めたのでなく、神が最初から意図しておられたことを、人間が時間をかけて認識したということです。そのプロセスにおいて、神の守りがあったことを言うまでもありません。

参考になる聖句

「その手紙でパウロは、ほかのすべての手紙でもしているように、このことについて語っています。その中には理解しにくいところがあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の箇所と同様、それらを曲解して、自分自身に滅びを招きます 」(第二ペテロ3:16)

 聖書の範囲を認識する過程において、神の守りがありました。