西壁(にしかべ)
ユダヤ教の聖地。「嘆きの壁」としても知られています。
(1)西壁とは、ヘロデ大王(前37〜前4)が増改築を行なったヘロデの神殿の西側擁壁の一部です。
(2)西壁と呼ばれている部分は、長さ約50メートル、高さ約20メートル(地上に出ている部分)です。全部で、43段の石が積まれて残っています。そのうち上部17段は後代のものですが、下部26段はヘロデ時代のものです。一つの石が、長さ4〜5メートル、高さ1メートルもあります。また、デザイン的にも、ヘロデ時代特有の縁どりが施されています。地下には、15段の石が埋没しています。
(3)バルコクバの反乱(132〜135年)が鎮圧されて以降、ユダヤ人はエルサレムに立ち入ることを禁止されました。
(4)4世紀になって、彼らは年1回、神殿が破壊された日(アブの月9日)に、エルサレムに来て神殿の消失と国の滅亡を嘆くことが許されました。
(5)神殿跡にイスラムの聖所が建設されて以降、ユダヤ人たちが嘆く場所は、現在の西壁の位置となりました。
(6)ユダヤ人たちは、1967年の第三次中東戦争以降エルサレムを再統一し、西壁で自由に祈れるようになりました。
出典:クレイ聖書解説コレクション「マルコの福音書」