ヤッド・バシェム(やっどばしぇむ)
エルサレムには、「ヤッド・バシェム」と呼ばれるホロコースト記念館があります。
第二次世界大戦中に、ナチスドイツによって、約600万人のヨーロッパのユダヤ人が虐殺されました。これは、ユダヤ民族の歴史だけでなく、人類の歴史の中でも最大の悲劇です。イスラエル政府は、この悲惨な出来事とその悲劇の中でも発揮された英雄的な行為を、歴史の教訓として将来の世代に伝えるために、ヤッド・バシェムを建設しました。
意外に知られていないのが、「ヤッド・バシェム」という名の由来です。これは、イザヤ書56章5節から取られています。
「・・・わたしの家、わたしの城壁のうちで、息子、娘たちにもまさる分け前と名を与え、絶えることのない永遠の名を与える。」
「分け前(あるいは手とも訳せる)と名」ということばは、ヘブル語では、「ヤッド・バシェム」となります。イザヤ書56:4〜5では、子孫を残すことのない宦官でも、永遠に神のものとなるとの約束が与えられています。「ホロコーストで死んでいったユダヤ人たちは、子孫を残すことができなかった。しかし、神はその彼らを永遠に祝福されるはずだ。」ヤッド・バシェムという名には、そのような意味が込められているのでしょう。