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2018

10.19

ディスペンセーショナリズムとは何か(6)

 ディスペンセーショナリズムの解説の最終回である。聖書を字義通りに解釈した結果、7つのディスペンセーションの存在が認識されるという点は、すでに学んだ。7つのディスペンセーションの土台となるのが、「8つの聖書的契約」である。①エデン契約 ②アダム契約 ③ノア契約 ④アブラハム契約 ⑤モーセ契約 ⑥土地の契約 ⑦ダビデ契約 ⑧新しい契約。今回は、⑥~⑧を学ぶ。

 

6.土地の契約(無条件契約)

 (1)聖書箇所は、申29:1~30:10(特に、申命記29:1に注目)である。「これは、モアブの地で、主がモーセに命じて、イスラエル人と結ばせた契約のことばである。ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である」。「ホレブで彼らと結ばれた契約」とは、シナイ契約のことである。この契約は、シナイ契約とは別に結ばれた契約である。

 (2)契約の当事者は、神とイスラエルの民である。

 (3)土地の契約の条項の中には、イスラエルの不信仰と世界離散が預言されている。さらに、イスラエルの悔い改めとメシアの再臨も預言されている。イスラエルは、「メシア時代」の祝福を受けるようになる(申30:8~10)。

 (4)土地の契約の現状。①土地の契約は、アブラハム契約の土地に関する条項が発展したものである。②この契約によって、約束の地の所有権はイスラエルにあることが再確認された。不信仰になれば、イスラエルはその土地から追放されるが、土地の権利が奪われることはない。③土地の契約は、無条件契約である。つまり、今も有効である。④イスラエル建国(1948年)は、終末時代という観点から重要なものである。

 

7.ダビデ契約(無条件契約)

 (1)聖書箇所は、2サム7:11b~17(ソロモンに強調点あり)と1歴17:10b~15(メシアに強調点あり)である。

 (2)契約の当事者は、神とダビデである。ダビデは、ダビデ家の代表として立っている。

 (3)ダビデ契約の条項は次のようなものである。①ダビデに永遠の王朝が約束されている。②ダビデの息子の一人ソロモンが、ダビデの後に王座を確立する。③ダビデではなく、ソロモンが神殿を建てるようになる。④ダビデ王国の王座は、永遠に確立される。⑤ソロモンは不従順の故に罰を受けるが、王座から退けられることはない。⑥メシアとその王座、家系、王国はとこしえに確立される。⑦ダビデ契約は、アブラハム契約の子孫に関する条項が発展したものである。⑧この契約によって、メシアはユダ部族の中のダビデの家系から出ることが明らかになった。

 (4)ダビデ契約の現状。この契約は無条件契約なので、今も有効である。この契約は、メシア的王国(千年王国)の到来を保証する契約である。メシア的王国では、キリストが地上で王として統治される。

 

8.新しい契約(無条件契約)

 (1)聖書箇所は、エレ31:31~34である。

 (2)契約の当事者は、神とイスラエルの2つの家(ユダとイスラエル)である。

 (3)新しい契約の条項は、モーセ契約とは異なるものである(エレ31:32)。①この契約は、イスラエルの霊的回復を約束している。また、救いの祝福を強調し、イスラエルの国家的救いを約束している。②イスラエルの霊的回復は、すべてのユダヤ人を含むものである。これは、メシア的王国で実現する。③罪の赦しが約束されている。新しい契約は、シナイ契約ができなかったことを実現する。④聖霊の内住が約束されている。シナイ契約は、聖霊の内住を約束していなかった。新しい契約では、モーセの律法に代わるものとして、キリストの律法が与えられる(ガラ6:2、ロマ8:2)。⑤新しい契約は、アブラハム契約の「祝福」に関する条項を発展させたものである。⑥異邦人は、信仰によってオリーブの木(無条件契約の祝福)に接木される。ユダヤ人と異邦人が、新しいひとりの人となる。これが教会である。

 (4)新しい契約の現状。①新しい契約は、無条件であり、今も有効である。②異邦人は、信仰によって霊的祝福を受けるようになった。③しかし、アブラハム契約にある土地と子孫の約束は、異邦人のものではない。物理的約束、特に土地の約束は、今もイスラエルのものである。④教会にとっては、新しい契約は「恵みの時代」の土台である。⑤イスラエルにとっては、新しい契約は「御国の時代」の土台である。

 

まとめ

8つの聖書的契約を学ぶことは、聖書を正しく理解するための助けとなる。条件付契約は人間の罪性の深刻さを明らかにし、無条件契約は神の主権の素晴らしさを明らかにする。8つの聖書的契約を正しく理解するかによって、その人の信仰生活と終末論が正されてくる。

月刊ハーベスト・タイムvol.392より引用