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エホバという言葉の由来について教えてください。

旧約聖書では、契約を結ぶ神の御名として、ヤハウェという名が啓示されました。これは、ヘブル語で、「יהוה (YHWH)」と書きます。ヘブル語は、子音だけで表記する言語です。後に、発音を指示するための「振り仮名」のような記号が考案され、使用されるようになりました。これをニクダーと言います(母音記号です)。

 ところで、ユダヤ人たちは、神の御名を発音することを恐れ、「יהוה (YHWH)」という御名が出て来ると、それを「אֲדֹנַי (アドナイ)」と読み替えました。アドナイとは、「我が主」という意味です。つまり、「יהוה (YHWH)」という言葉に、「אֲדֹנַי (アドナイ)」と読ませるための振り仮名(ニクダー)を付けたのです。

 このことを理解しない後代の学者が、本来は「אֲדֹנַי (アドナイ)」と発音すべき言葉を、「Jehovah(エホバ)」と読むようになりました。その結果、この読みが一般に広がるようになりました。

 蛇足ですが、今でもユダヤ人たちは、「יהוה (YHWH)」を「אֲדֹנַי (アドナイ)」と発音しています。さらに、神の御名を畏怖するということから、ヘブル語で神のことを「ハ・シェム」(The Nameの意味)と呼んだり、英文の場合は「God」ではなく「G-d」と書いたりしています。

 

 最後に、日本語訳にも触れておきます。ヘブル語の「יהוה (YHWH)」の日本語表記として、次の3つがあります。①新改訳聖書は、太字の「」を採用しています。新改訳で太字でない「主」が出て来た場合は、「יהוה (YHWH)」ではなく、普通名詞の「主」です。②口語訳と新共同訳は、太字でない「主」を採用しています。そのため、固有名詞の「יהוה (YHWH)」と普通名詞の「主」の区別がつかなくなっています。③文語訳は、「エホバ」を採用しています。

 「יהוה (YHWH)」は、契約の神の御名を示す固有名詞ですから、日本語訳でも、それが固有名詞であることが分かる言葉がいいと思います。

(答えた人:牧師 中川健一)

もっと詳しく知りたい方は

「アドナイ」が実際ユダヤ人にどんな使われ方をしているかが分かる聖書箇所をご紹介します。
(※アドナイ が使用されている箇所ですが、メッセージのテーマではありません。)

創世記(29)―アブラハムの執りなしの祈り―

創世記(52)―ポティファルの僕となるヨセフ―