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2018

10.19

ディスペンセーショナリズムとは何か(5)

 ディスペンセーショナリズムの解説の5回目である。聖書を字義通りに解釈した結果、7つのディスペンセーションの存在が認識されるという点は、すでに学んだ。7つのディスペンセーションの土台となるのが、「8つの聖書的契約」である。①エデン契約 ②アダム契約 ③ノア契約 ④アブラハム契約 ⑤モーセ契約 ⑥土地の契約 ⑦ダビデ契約 ⑧新しい契約。今回は、④と⑤を学ぶ。

 

4.アブラハム契約(無条件契約)

 (1)聖書箇所は、複数ある。①創12:1~3は、アブラハム契約への最初の言及である。②創12:7は、再確認である。③創13:14~17は、ロトと別れた後に与えられた確認のことばである。④創15:1~21は、アブラハム契約にサイン(封印)がなされる箇所である。⑤創17:1~21は、契約の「しるし」としての割礼が命じられる箇所である。⑥創22:15~18は、イサク奉献の後に与えられた祝福のことばである。

 (2)契約の当事者は、神とアブラハムである。この契約は、アブラハムの子孫に継承されていく(イサク、ヤコブ、ヤコブの 12人の息子たち)。この契約が破棄されることはない。この契約が約束していることは、将来必ず成就する。

 (3)アブラハム契約の条項は、3つの領域に分類できる。アブラハム個人に対するもの、その子孫であるイスラエル民族に対するもの、そして、異邦人に対するもの。①アブラハムから、偉大な国家(イスラエル)が出てくる。②アブラハムに土地が約束された。③アブラハムの名が大いなるものとなる。④アブラハムによって、地上のすべての民族は祝福される。⑤アブラハムを祝福する者は祝福され、呪う者は呪われる。⑥その妻サラによって、ひとりの息子が与えられる。⑦彼の子孫は、エジプトで400年間の奴隷生活を送るようになる。

 (4)アブラハム契約と他の契約の関係。①土地に関する条項は、土地の契約で再確認され、さらに詳細に定義される。②子孫に関する条項は、ダビデ契約で再確認され、さらに詳細に定義される。③祝福に関する条項は、新しい契約で再確認され、さらに詳細に定義される。

 (5)アブラハム契約の現状。アブラハム契約は、「約束の時代」の土台となる契約である。この契約は、無条件契約であるので、今も有効である。この契約の最終的な成就は、 「御国の時代(メシア的王国、千年王国) 」を待たねばならない。

 

5.シナイ契約(条件付契約)

 (1)聖書箇所は、出19:3~8(より広くは、出20:1~31:18)である。

 (2)契約の当事者は、神とイスラエルの民(仲介者はモーセ)である。①この契約は、イスラエルの民がエジプトから約束の地に移動している途上で与えられた。②モーセの律法がこの契約の特徴である。律法に忠実なら祝福を受けるが、律法に違反するなら裁きを受ける。つまり、この契約は、基本的には業の契約である。神は、イスラエルが失敗することを知っておられたが、彼らを見捨てないと言われる(エレ30:11)。

 (3)契約の条項は、モーセの律法である。①613の命令からなっている(365の禁止命令と248の積極的な命令)。②ノア契約の食物規定に制限が加えられた。動物は、反芻して噛むもので、ひずめが割れているものに限定される。魚は、ひれと鱗があるものに限定される。③割礼が命じられた。アブラハム契約の「しるし」である割礼の意味が拡大した。イスラエルの民は、律法に従うことの表現として割礼を受ける。異邦人がイスラエルの民に加わるためには、割礼が必要となった。④この契約の中心的要素は、血のいけにえである。「なぜなら、肉のいのちは血の中にあるからである。わたしはあなたがたのいのちを祭壇の上で贖うために、これをあなたがたに与えた。いのちとして贖いをするのは血である」(レビ17:11)

 (4)シナイ契約の現状。①この契約は、「律法の時代」の土台となる契約である。②この契約は、今では無効になっている。なぜなら、メシアの死によってモーセの律法は成就し、終了したからである(ロマ10:4、2コリ3:3~11、ガラ3:19~29、エペ2:11~18、ヘブ7:11~12、18参照)。③モーセの律法が今も有効だと考え、それを実行しようとするクリスチャンがいるが、それはディスペンセーションの移行を理解しないところから来る誤解である。モーセの律法は無効になっていることを覚えよう。今の私たちに与えられているのは、「メシアの律法」である。このことは、次回学ぶ。

月刊ハーベスト・タイムvol.391より引用

(続く)