置換神学(ちかんしんがく)
旧約のイスラエルは見捨てられ、教会が霊的なイスラエルとなったというのが置換神学の立場です。つまり、聖書の人類救済史上のイスラエルの役割は、キリストが世に来られることで終わった。イスラエル民族はキリストを拒否したので、今やのろいの下にある。キリストを信じる異邦人教会こそが、真の神の民、霊的イスラエルであるというのです。イスラエル民族が異邦人教会に置きかえられたため、置換神学という名がつけられました。英語では、「Replacement Theology」と言います。
この立場は、最近主張され始めたものではなく、教会史の中では、教会教父時代にその源を発し、ルターや他の宗教改革者たちによっても受け入れられてきたものです。また特定の民族を選民と考えることに対してある種の抵抗感がある現代人にとっては、比較的抵抗なく受け入れられる素地があります。
20 世紀になってユダヤ人の中でイエスをメシア(救い主)と信じる人が起こされてきた理由の一つは、多くのクリスチャンたちが置換神学の間違いに気づき始め、ユダヤ人の救いのために祈り始めたことにあります。ユダヤ人とクリスチャンの間に、「イエス・キリストを信じることは、ユダヤ人でなくなることではなく、むしろユダヤ人として完成されることである」との認識が広まってきたことも、重要な要因です。
出典:クレイ聖書解説コレクション「ルカの福音書」