2017

05.01

Q.120 リビングバイブルを聖書代わりにしてはいけないのでしょうか。

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リビングバイブルは、普段私たちが読んでいる本に近い感覚ですんなり読める、意訳された聖書です。リビングバイブルが分かりやすいなら、それを使えば良いのでは? と思ってしまいますが、教会でリビングバイブルではなく、新改訳などが主に使用されるのには、それなりの理由があるようです。さっそく見てみましょう。

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Q. 質問

Q:リビングバイブルは、とても読みやすく、理解できることが多いです。リビングバイブルは、神学的に正しい解釈がなされていると聞いているので信頼できるものだと思うのですが、リビングバイブルを聖書代わりにしてはいけないのでしょうか。

A. 回答

A:これは、クリスチャンの方からの質問です。3つの側面から回答したいと思います。

(1)聖書にはさまざまな訳がある理由

 ①聖書の原典は変わりません。

  *旧約聖書は、ヘブル語とアラム語で書かれています。

  *新約聖書は、ギリシア語で書かれています。

 ②しかし、聖書の解釈は常に前進しています。

  *特に、今まで意味が分からなかった用語の意味が分かった場合がそうです。

 ③また、人々が使用する言葉は、時代とともに変化しています。

 ④そのため、新しい訳が必要になるのです。


(2)翻訳理念の違い

 ①原文の意味を忠実に再現しようとして、逐語的、機械的に訳しているものが
   あります。

 ②初心者にも分かるように、意訳しているものもあります。

 ③その中間のものもあります。

 ④いずれの場合も、翻訳者の解釈が入っています。


(3)リビングバイブルの使用法

 ①1971年にアメリカ人のケネス・テイラーが翻訳出版した英語版聖書です。

 ②その後、多くの言語に翻訳されました。

 ③リビングバイブルもまた、聖書です。

 ④ただし、他の聖書以上に意訳されています。

 ⑤一般論として、意訳の箇所が多いほど、意味は分かりやすくなります。

 ⑥聖書研究には不向きですが、デボーションには有益な訳文です。


参考になる聖句

「聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です」(2テモ3:16)


リビングバイブルは、デボーションには有益な聖書です。

もっと詳しく知りたい方は

聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です(第二テモテ 3:16


まだどの訳の聖書も読んだことがないという方のために、例としてヨハネの福音書1:1〜2を並べてみます。

【新改訳】 1初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。2この方は、初めに神と共におられた。

【リビングバイブル】1+2 まだ何もない時、キリストは神と共におられました。キリストは、いつの時代にも生きておられます。キリストは神なのです。

著者ヨハネはギリシャ語でこの文章を書きました。新改訳で訳された「ことば」の原文はギリシャ語で「ロゴス」です。ギリシャ哲学には、ロゴスに理性と言葉という2つの意味があり、メシアは神のイデアー理想的な形ーである、言葉は神の表現であるということ、そして当時のユダヤ教のラビが使っていたアラム語で、言葉と神を示す「メムラ」という単語も、ヨハネが「ロゴス」で三位一体の神を表現したことに関係しています。

「ことば」をキリストと訳せば文章の意味はわかりやすいのですが、聖書研究をするには、ロゴス=「ことば」の訳の方が、深い理解へ導いてくれるという一例でした。


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