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今日の聖書の言葉

キリスト教の異端

現代のキリスト教の異端について教えてください。その教えには、どういう特徴がありますか。

異端に共通するのは、キリスト論が間違っているということです。つまり、キリストとは誰かという点において、誤っているのです。注意すべきは、異端でもキリストという名を口にしますが、彼らのキリストは、聖書が啓示しているキリストとは別人だということです。名前は同じでも別人というのは、私たちが日常経験することでもあります。このことをしっかりと覚えておく必要があります。キリスト論が間違っていると、救済論(救いに関する教え)が間違ってきます。そこが恐ろしいところです。異端の教えを信じても、そこには救いはありません。異端の教えは、聖書が啓示する三位一体の教理に対抗する形で発生しています。現代の異端の源流は、初代教会の頃にまで遡ることができます。

(1)初代教会から教会教父時代(使徒直後の時代、1~2世紀)までは、「イエスは主(キュリオス)なり」が、信者が共有する信仰告白でした。これは、「イエスは神であり、旧約聖書のヤハウェである」との単純な信仰告白です。三位一体の信仰はありましたが、教会教父たちはそれを教理として確立する必要がなかったのです。

(2)やがて、キリスト教は二神信仰であるという批判が出てきました(主にユダヤ人や異教徒から)。そこで、信仰を弁証するために、三位一体の教理を確立する必要がでてきました。特に、受肉の教理が重要なテーマになりました。三位一体を定義すると、「神は、実体(サブスタンティア)において唯一の神でありつつ、父と子と聖霊という三つの位格(ペルソナ)において存在する」ということになります。

(3)2世紀後半のプラクセス、3世紀のサベリオスなどは、三神論に流れる可能性を否定するために、神の単一性を強調し、唯一の神が、3つの異なる様態で自己啓示を行ったと主張しました。つまり、「父なる神」が、「子なる神」としても「聖霊」としても、自己啓示を行われたということです。もちろんこれは、三位一体を否定していますので、異端です。

(4)アリウス(約250~336年)は、キリストの神性を否定したことで有名です。彼は、御子は本質的に父なる神とは異なる、父なる神は御子を被造物として生み出した、御子は他の被造物の創造者として「すべてのものの前に」存在した、御子には父なる神を人間に啓示することができるように十分な知恵と光が与えられた、などと主張しました。もちろんこれは、イエス・キリストを被造物としている点で、異端です。

(5)現代の異端としては、エホバの証人、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)などがあります。彼らは、三位一体を否定します。つまり、キリストの神性を否定するということです。そして、キリストは被造物であると主張します。両者の教えはともに、アリウス主義の流れを汲んでいます。ちなみに、モルモン教の本質は多神教です。

(答えた人:牧師 中川健一)

もっと詳しく知りたい方は

マタイの福音書(13)

神は良い種を蒔かれるが、敵である悪魔はそれに対抗して、良い麦にそっくりの毒麦を蒔いて見分けをつかなくさせてしまうというたとえ話の箇所です。

異端の見分け方を教えてください