聖書の読み方5つのヒント
「聖書の内容を理解したい。しかし、自分で読んでもなかなか分からない。どうしたらいいのか」。これは、初めて聖書を読み始めた人の共通した悩みではないでしょうか。ハーベスト・タイムは、「聖書研究から日本の霊的覚醒(目覚め)が」をモットーに活動していますが、聖書の正しい読み方について人々を啓蒙するのは、活動目的の一つです。そこで今回は、聖書の読み方(研究法)に関する「5つのヒント」をお伝えしたいと思います。最初の4つは、助けにはならない、むしろ害になるようなヒントですので、ご注意ください。最後の5番目だけが、私たちを正しい聖書理解へと導いてくれます。
1. 精神安定剤的読み方
これは、対症療法的読み方です。平安が欲しい時は○○を、死の恐怖を感じているときは○○を、絶望した時には○○を、喜びが欲しい時は○○を、という風に読んでいくものです。実際、初心者向けの小冊子やパンフレットの巻末には、状況に応じて読む聖句がリストアップされていることがよくあります。
確かに、この方法で読んで助けになる場合もあります。しかし、その効果は一時的なもので、長続きしません。
2.おみくじ的読み方
これは、聖書を好きに開いて、偶然に指を置いた聖句を読んでいく読み方です。悩んでいる問題への回答や、将来の導きを求めるという点で、おみくじを引くのとよく似ています。また、選んだ聖句が自分の状況に会わない場合は、別のページを開いて同じことを繰り返します。これを、納得できる聖句に到達するまで行います。
この方法では、その書が書かれた背景や著者の意図などを考慮することがないので、主観的で自分勝手な解釈に陥る危険性があります。キリスト教関係の雑誌や新聞などで、「私を変えた聖書のことば」というような特集が組まれることがありますが、時には、その聖句の本来の意味とはかけ離れた内容の文章に出会うこともあります。
3.サーフィン的読み方
これは、聖書を読むための体系的な計画やガイドラインを持たないままで、その日の気分に応じて好きな箇所を開き、「バイブル・サーフィン」を繰り返す読み方です。一度に読む量が少し多いという点では、「おみくじ的読み方」よりも優れています。しかし、文脈を無視して聖書を読んでいますので、著者の本来の意図を誤解する危険性があります。また、状態のよい時と、気分が進まない時では、読み方にばらつきが出て来ます。無風状態で波が立たない海では、サーフィンをすることができません。それと同じです。
4.鋳型的読み方
これは、あらかじめ自分が持っている解釈を、聖書に押し付ける読み方です。鋳型の中に銑鉄を流し込んで鋳物を作るのに似ていますので、「鋳型的読み方」と命名しました。この読み方の問題点は、あらかじめ回答が決まっていますので、何度読んでも同じ答えしか見つからないことです。神様は聖書を通して私たちに語りかけてくださいます。それゆえ私たちは、聖書のことばに心を開き、神の力によって作り変えていただくことができます。本来聖書は、日々新しく私たちの心に迫って来るものですが、鋳型的読み方では、硬直化した体験しかできなくなります。
5.正しい読み方
これは、著者の意図を発見することをゴールとする読み方です。そこから、自分への適用が出て来ます。注意すべき点を3つ上げておきます。
(1)字義通りの解釈
これは、機械的な解釈ではなく、最も自然で、単純な解釈です。つまり、聖書に書かれていることを文字通りに解釈するということです。聖書は、日常私たちが本や雑誌や新聞を読むのと同じ方法で読めばいいのです。
(2)文法的・歴史的解釈
これは、文法的構成や歴史的文脈に注目するということです。へブル語やギリシア語を知っているに越したことはありませんが、知らなくても、いくつかの訳文を比較したり、英訳の聖書を調べたりすることで、多くの問題は解決します。文脈を知るためには、誰が、誰に、どういう目的で、いつ頃書いたか、などを調べる必要があります。
(3)文学類型の考慮
文学様式は、文章の意味を支配します。散文の場合は問題ありませんが、韻文(詩)になると要注意です。ちなみに、旧約聖書のおよそ三分の一は、韻文です。韻文を含まないのは、レビ記、ルツ記、エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記、ハガイ書、マラキ書だけです。
さらに、修辞的表現にも注意する必要があります。明確に修辞的表現と分かる場合以外は、文字通り解釈するのが正解です。つまり、難解な箇所だからと言って、比ゆ的に解釈しないということです。修辞的表現には、以下のようなものがあります。①直喩、②隠喩、③たとえ話、④誇張法、⑤婉曲法など。
聖書は理解可能な書です。そして、分かり始めると、喜びが湧き上がり、さらに知りたくなります。このことをご自分で体験してください。ハーベスト・タイムは、聖書研究に役立つようにと、「メッセージ・ステーション」や「聖書入門.com」をネット上に開設し、情報を配信しています。ぜひご利用ください。
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