ノアの方舟シリーズの第2回目は、洪水が起きた範囲や規模についての質問です。洪水が起きる前の地球は、どんな環境だったのでしょうか?
テキストで読む
#28. ノアの洪水は地球規模のものだったのですか。
Q. 質問
では、ノアの洪水の2番目の質問です。この洪水は、地球規模のものですか、あるいは地域限定ですか。
A. 回答
この質問に対する答えは、もちろん、地球規模のものです。その理由を、いつものように3つ申し上げます。
1番目に、聖書に書かれている「洪水前の地球の環境」について、考えてください。
創世記1章6節〜7節に、こういう言葉があります。
「大空の下の水と、大空の上の水とを区別された」(創世記1:6〜7)
ノアの洪水が起こる前の地球環境とは、地を覆っている水が下にあり(これがやがて海になるわけです)、天上には水蒸気の層があって、地球を覆っていました。この水蒸気の層がもたらす効果を、「温室効果」といいます。地球全体がその水蒸気の層で覆われていましたので、地上の気候は非常に温暖なものだったと推定されます。
さらに、「水が地から湧き出て、土地の全面を潤していた」(創世記2:6)とあります。つまり、植物は地から湧き出る水と水蒸気の層から水分を得て、育っていたのです。ということは、ノアの洪水までは、雨は降らなかったということです。さらに、大雨が降ったのは、地球を覆っていた水蒸気の層が大量の水を提供したからです。
2番目に、「箱舟の建設」について考えてください。
もし、洪水が地球規模のものでなかったとしたら、わざわざ箱舟を建設する必要はなかったでしょう。そんなことをしなくても、別の地区にある高台に移住すれば問題は解決していたはずです。
前回説明したように、当時の人たちには120年の時間が与えられていました。もし地球規模の洪水でないなら、動物たちを狭い箱舟の中に閉じ込めなくても、別の地区に移動させただけで、命を守ることができたはずです。
箱舟建設の命令は、「地球規模の洪水」を前提としたものです。
「水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた」(創世記7:19)とあります。この聖句も、地球規模の洪水を示唆しています。
3番目に、「イエス・キリストのことば」を思い起こしてください。
イエス・キリスト自身が、この洪水を「地球規模のものだ」と認めておられます。
「そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです」(マタイの福音書24:39)
つまり、全世界を覆う洪水が来て、すべての物を奪っていったのだけれど、当時の人たちは、その直前までそれを信じようとしなかったということです。そしてイエスは、「人の子が来るのも、そのとおりです」と言われました。これは、「キリストの再臨」のことです。キリストが再び地上に帰って来られるというメッセージを聞いても、多くの人たちがそれを信じようとしません。しかし、キリストの再臨は突如起こります。その様子が、「ノアの洪水と同じだ」というのです。
前回学んだように、ノアの洪水の物語は、裁きと救いのメッセージでした。そのメッセージは、全人類に向けられたものです。ノアの洪水は、「終末的裁きと救いの型」になっています。それゆえ、ノアの洪水は地球全体に影響を及ぼすものでなければならないのです。
参考になる聖句
「ただし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです」(マタイの福音書24:36〜39)
もっと詳しく知りたい方は
今回引用されている聖書の箇所です。
水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた(創世記7:19)
創世記(12)―洪水の背景―(創世記 6:1〜8) (アウトライン)
創世記(13)―ノアに対する命令―(創世記 6:9〜22) (アウトライン)
創世記(14)―洪水の始まり― (創世記 7:1〜24) (アウトライン)
創世記(15)―洪水の終わり― (創世記 8:1〜22) (アウトライン)