ノアの方舟は聖書の「創世記」に記録された実際の出来事です。映画やゲーム等にも頻繁に登場し、有名なだけに誤解も多い箇所ですが、聖書はなんと言っていて、どんなことを指し示しているのでしょうか。ノアの方舟についてのQ&Aを4回シリーズでお届けします。
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#27. ノアの洪水はなぜ起こったのですか。
Q. 質問
最近、「ノアの箱舟」をテーマにした映画を観ましたが、友人のクリスチャンはこの映画は聖書的ではないと言っていました。ノアの箱舟について詳しく知りたいと思い、4つ質問させていただきました。先ず、ノアの洪水がなぜ起こったか教えてください。
A. 回答
いつものように、3つ答えを申し上げます。
1番目に、「人類の罪が許容できないほど広がったのだ」と聖書は言っています。
創世記6章5節に、このようなことばがあります。
「【主】は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」(創世記6:5)
この聖句を何度か読むと、ノアの生きた時代が、いかに凄まじい時代であったかが分ります。人は「いつも」、「悪いことだけ」考えているのです。このような社会というのは、強い人はまだ良いでしょうが、弱者には過酷なものです。
「子供」、「婦人」、「ハンディのある者」、「経済的弱者」。こういう人たちにとっては、まさに「地獄」のような世界です。
人類の悪の増大という文脈の中で、聖書には「神の子らと人の子たちの結婚」という話が出てくるのですが、これはまた先に行ってから、別項目として取り上げて説明したいと思います。
2番目に、そのような人類の堕落に対して「神は義を持って対処された」というのが、この「洪水」です。
洪水は、地上から罪を取り除くために、神が起こされたものです。ただし、実はそれは、人類を守るための方法でもあったのです。実際に洪水の後、人類の歴史が、再スタートを切ります。
ですから、洪水は単に「裁く」だけではなく、また、「罪を取り去る」だけでもなく、長い目で見ると、「人類を守る」ための神様の御業であったということです。このことに注目してください。
3番目に、「神は愛をもって対処された」ということです。
どこでそのことが分るのでしょうか。洪水の破壊から守られる人が出てきました。ノアとその家族がそれです。ノアおよび3人の息子たちで、男性4人です。さらに、それぞれの妻が4人いますので、合計8人が、神様から選ばれて助かりました。
ノアとその家族以外の人たちも破壊から逃れることができるように、「箱舟」が用意されました。神の命令によってその箱舟を建設したのは、ノアです。なんと彼は、計算すると、洪水までの間、約120年間にわたって人々に語り続けているのです。
人々はノアの言葉に耳を傾け、それを信じて箱舟に入り、破壊から救われるという道を選ぶこともできました。しかし残念ながら、当時の人たちはそれとは逆の選びをしました。
そのようにノアの物語を読んでいくと、「箱舟というのはイエス・キリストの十字架の象徴」となっていることが分かってきます。
今も人々の前に、「十字架の愛」が示されています。イエス・キリストはあなたのために、わたしのために、死んでくださったというメッセージが提示されています。けれども、そのメッセージに耳を傾けて救われる人と、心を閉ざす人がいるのです。ノアの時代と全く同じですね。
このように見て来ると、洪水とノアの箱舟は、実は「神の愛を示しているのだ」ということが分かります。あなたも神に愛されています。
参考になる聖句
「ノアは、自分の息子たちや自分の妻、それに息子たちの妻といっしょに、大洪水の大水を避けるために箱舟に入った」(創世記7:7)
「洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです」(マタイの福音書24:38〜39)
もっと詳しく知りたい方は
今回引用されている聖書の箇所です。ノアの方舟についての記事は創世記6:1から9:18までで、方舟後のノアの人生についての記事は9:29まで続きます。ぜひ実際の聖書を読んでみてください。
【主】は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。(創世記6:5)
創世記(12)―洪水の背景―(創世記 6:1〜8) (アウトライン)
創世記(13)―ノアに対する命令―(創世記 6:9〜22) (アウトライン)
創世記(14)―洪水の始まり― (創世記 7:1〜24) (アウトライン)
創世記(15)―洪水の終わり― (創世記 8:1〜22) (アウトライン)