割礼とは、男子の性器の包皮の一部を切除する儀式のことで、創世記17章で神がアブラハムとの契約の印として与えたものです。キリストの十字架以前には、割礼のない者はユダヤ人として認められませんでした。そして宦官とは、去勢手術を受けた高級官吏のことです。宦官と割礼、このふたつはどのように両立することが出来たのでしょうか?
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Q. 質問
宦官はユダヤ人になれるのですか。エチオピアの宦官は割礼をうけたのでしょうか。私の考える宦官と同じなら、物理的に無理じゃないですか。
A. 回答
これは、使徒行伝8章に登場するエチオピアの宦官に関する質問です。
いつものように3つ申し上げます。
1.宦官とは、去勢手術を受けた高級官吏のことです。
(1)この方の質問には、宦官に関する誤解があると思います。
(2)生殖機能を奪うためには、ほとんどの場合睾丸を除去しました。
(3)従って、宦官でも割礼を受けることは可能です。
2.宦官も、ユダヤ人になれます。
(1)ユダヤ教に改宗すれば、異邦人でも宗教的はユダヤ人と見なされました。
(2)申23:1は、宦官が【主】の集会に参加することを禁じています。
①この習慣をイスラエルの民の中に持ち込まないためでしょう。
(3)しかし、イザ56:3~5では、神は宦官も受け入れておられます。
(4)エチオピア人の宦官は、ユダヤ教に改宗した異邦人です。
3.新約時代に生きる私たちは、割礼を受けなくても、信仰によって救われます。
(1)モーセの律法は、キリストの十字架によってその効力を停止させられました。
(2)イエスを信じることは、心に割礼を受けることです。
参考になる聖句
「割礼を受けているか受けていないかは、大事なことではありません。大事なのは新しい創造です」(ガラ6:15)
旧約時代においては、宦官もユダヤ教に改宗することができました。
もっと詳しく知りたい方は
割礼を受けているか受けていないかは、大事なことではありません。大事なのは新しい創造です(ガラテヤ6:15)
創世記(28)―割礼― (創世記 17:1〜27)(アウトラインPDF)
▲神がアブラハム契約の印として割礼を与えた場面の解説です。
出エジプト記(06)―エジプトに向かうモーセ― (出4:18〜28) (アウトラインPDF)
▲モーセの妻は割礼を嫌い、息子が無割礼のままだったために、モーセが死にそうになる場面。神の契約の重さがわかります。
ローマ人への手紙(52)―教会内の調和を求めて(2)― (ロマ14:5〜12)(アウトラインPDF)
▲キリストの十字架以降、異邦人も多く集った教会において「割礼は必須か否か」が論争になっていた時のパウロの答えです。少し難しいので、上級者向けです。