宗教のせいで戦争が起きるって、本当でしょうか。よく「神をも恐れぬ行為」などと言いますが、大量虐殺を起こした歴史的指導者たちの宗教は何だったのか?宗教のせいで起きた戦争の割合は?世界の戦争データをひもとくと、興味深い事実が見えてきます。観ればきっと誰かに教えたくなる動画です!
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#46. 宗教があるから、戦争が起こるのではないのですか。私は戦争が起こる最大の原因は宗教だと思っています。
Q. 質問
戦争はいつの時代もなくなりません。宗教があるから戦争も起こるのではないのですか。私は、戦争が起こる最大の原因は、宗教だと思っています。 もしかすると、宗教を信仰する人が減れば、戦争もほとんどなくなるのではないでしょうか。
A. 回答
これは、通常は無宗教の方や無神論の方が、強く主張されることです。その背後には、おそらく宗教を否定したいという動機があるのだと思います。いつものように3つ申し上げます。
1番目に、確かに宗教が原因となった戦争はあります。
すぐに思い出すのは、例えば「十字軍(11〜13世紀)」です。これは、「エルサレムをイスラム教徒から奪還したい」という願望から出て一連の戦いのことですね。
あるいは、ヨーロッパでは「30年戦争(17世紀)」というものがありました。これは17世紀に、今のドイツを舞台に展開された戦争です。この戦争では、カトリックとプロテスタントが争いました。終わりの方になると、むしろ政治的な要因の方が強くなっていくわけですが、最初は宗教的な戦争でした。
最近ですと、イスラム原理主義者による「同時多発テロ(9・11)」があります。これは、聖戦(ジハード)という概念のもとに、イスラム過激派の人たちが起こしたテロです。
このように、宗教が原因となっている戦争は確かにあります。
しかし2番目に、宗教が原因となった戦争は、ある方々が主張するほど多くはありません。
興味深い百科事典が存在します。英語で「Encyclopedia of Wars」という戦争に関する全3巻の百科事典です。この百科事典は、歴史上起こった1,763件の戦争を取り上げています。
分析結果を見ると、全戦争の中で「宗教的な戦争」と分類されるものは、123件(6.98%)です。イスラム教に関係した戦争は66件あり、それを除外すると、イスラム教以外の宗教的な戦争は57件で、たった3.23%です。
多くの戦死者を出した歴史上の大戦争は、宗教とは無関係に起こっています。あるいは、大量虐殺や大量死というものも、「無宗教の支配者の下」で起こっています。最大の犠牲者が出たのはスターリン時代で、4,267万人死んでいます。次が毛沢東時代で、3,782万人が死にました。第3がヒトラーの時代で、2,094万人が死んでいます。以上3人の独裁者たちは、すべて無宗教でした。
3番目に、戦争の第一原因は、宗教ではなくて「人間の罪」です。人間の利己心、欲望が戦争の原因です。
ヤコブの手紙4章1〜2節にはこうあります。
「何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いがあるのでしょう。あなたがたのからだの中で戦う欲望が原因ではありませんか。あなたがたは、ほしがっても自分のものにならないと、人殺しをするのです。うらやんでも手に入れることができないと、争ったり、戦ったりするのです。…」(ヤコブの手紙4:1〜2)
戦争の原因は、「人間の内側にある罪」です。もし人間が、自分を超越した方がいることを否定するなら、人間の性質と行為は、際限なく堕落してしまいます。
参考になる聖句
「内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです」(マルコの福音書7:21〜23)
もっと詳しく知りたい方は
▲2006年に語られた中東情勢についてのメッセージです。今と状況は変わってきていますが、イスラム教とテロに関する分かりやすい解説や、何かと批判されがちなイスラエルの事情などを聞くことができます。