万人祭司(ばんにんさいし)を知るためには、まず旧約時代の祭司の役割や、なぜ祭司が必要だったかについて確認しましょう。イエス・キリストの十字架により、祭司の制度も大きく変えられました。
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Q. 質問
Q:万人祭司とはどういう意味ですか。それは聖書的な教えですか。
A. 回答
A:万人祭司は、キリスト教の神学用語で、宗教改革によって回復された真理のひとつです。万人祭司説について、いつものように3つ申し上げます。
1 番目に、旧約時代には祭司制度がありました。
祭司たちは、自分で選んでその職業に就いたのではなく、神からの任命によって祭司になったのです。レビ族の中のアロンの家系の者たちが祭司としての任命を受けました。祭司は、神と人の間に立つ仲介者として、種々のいけにえを神に捧げました。しかし、レビ系の祭司職は、永遠に続くものではありませんでした。それは、イエス・キリストを示す予型に過ぎなかったのです。
2 番目に、イエスの死によって祭司制度は破棄されました。
イエスが十字架上で死んだ瞬間、神殿の聖所と至聖所を分けていた垂れ幕が、上から下に裂けました。それまでは、垂れ幕の奥にある至聖所に入ることができたのは、大祭司だけでした。しかも、年に一度しか入れませんでした。神殿の垂れ幕が裂けたということは、すべての信者が真の大祭司であるイエス・キリストを通して、神の臨在の前に出ることができるようになったということです。新約時代においては、地上的な祭司は必要ではなくなりました。
3 番目に、聖書はすべての信者は祭司であると教えています。
ペテロの手紙第一2章5節には、こうあります。 「あなたがたも生ける石として、霊の家に築き上げられなさい。そして、聖なる祭司として、イエス・キリストを通して、神に喜ばれる霊のいけにえをささげなさい」 。信者には、特権が与えられています。それは、イエス・キリストを通して大胆に神の御前に出ることができるという特権です。また、責務が与えられています。それは、生き方を通し、言葉を通して、神に喜ばれる霊のいけにえを捧げるということです。もうひとつ忘れてはならないことがあります(これは、特権であると同時に責務でもあります)。信者には、自分で聖書を読み、解釈する権利があるということです。聖書を解釈する特権は、特定の教会や教派に属しているのではなく、信者各人に与えられています。それゆえ、聖書研究によって神の御心を知ることが極めて重要なのです。
参考になる聖句
「しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです」 (1ペテ2:9)
今は、万人祭司の時代です。
もっと詳しく知りたい方は
以下は、聖書を飛ばさずに読んでいく「講解メッセージ」からの動画です。
少しテクニカルで難しいかもしれませんが、旧約聖書で代表的な祭司メルキゼデクと永遠の大祭司イエス・キリストの比較を通して、イエスの十字架によりもたらされた新しい契約、つまり「新約」がどれほど素晴らしいものであるかが語られています。深く知りたい方にはオススメです。
ヘブル人への手紙(13)—メルキゼデク的祭司職とレビ的祭司職の対比—