この動画では、4種類のポピュラーな日本語聖書と、それぞれの翻訳の特徴が解説されています。もともとヘブライ語・アラム語とギリシャ語だったものを、現代の日本人が理解するために、色んな時代の学者さんたちの働きと苦労があったのですね。解説にもある通り、ハーベスト・タイムでは、聖句の引用などには、主に新改訳聖書を使っています。
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#16. どの日本語訳聖書を読めばよいですか。
Q. 質問
前回の質問で、聖書の原典は変わらないが、翻訳文は時代とともに変化することが分かりました。聖書を読みたいという気持ちになってきましたが、どの日本語訳聖書を読めばいいのか、迷っています。それぞれの特徴が知りたいと思い、再び質問させていただきました。
A. 回答
今日は、最もポピュラーな日本語訳聖書を、翻訳された年代順に4つご紹介したいと思います。
1番目が、「文語訳聖書」です。
これは、「日本聖書協会」から発行されています。旧約聖書の部分は「明治訳」といいます。明治時代に訳されたものです。1887年のことです。その後、新約聖書が訳されましたが、これは「大正改訳」といいます。こちらは大正時代の1917年に訳されたものです。
個人的には「文語訳聖書」が大好きです。格調の高い日本語に訳されています。また、暗唱しやすいです。多くのクリスチャンの先輩方は、「文語訳聖書」の聖句を暗唱されました。
しかし、やはり時代が変化し、若い人々にとっては相当昔の言葉に聞こえるようになりました。そのため「一般性がない」ということで、戦後に2番目の聖書が訳されました。
その2番目の聖書が、「口語訳聖書」です。
これもまた、「日本聖書協会」が発行しています。新約聖書は1954年に、旧約聖書はその翌年の1955年に出版されました。
「口語訳聖書」は分かりやすいです。最近の日本語訳と比較すると、短い言葉で言い切るような訳ですから、読みやすいですし、リズムがいいですね。これが「口語訳聖書」の特徴です。
3番目が、「新改訳聖書」です。
この聖書は「日本聖書刊行会」から発行されています。初版が1970年です。これは、いわゆる「福音派」と呼ばれる人々が訳した聖書です。「口語訳聖書」では神学的に納得できないという人々が、自分たちの信仰告白として訳したのが、この聖書です。私たちの団体「ハーベスト・タイム・ミニストリーズ」も、「新改訳聖書」を用いてメッセージを語らせていただいています。もちろん、他の日本語訳を参考にすることは多々あります。
「新改訳聖書」の改訂第3版が2003年に出版されました。これは、差別用語を修正したり、日本語として不十分な表現を書き換えたりしたものです。
そして4番目が、「新共同訳聖書」です。
これも「文語訳」や「口語訳」と同じで、「日本聖書協会」から発行されています。1987年の出版です。「共同訳」という意味は「日本基督教団」、「日本聖公会」、「ローマ・カトリック教会」が共同して翻訳に当たったからです。
「新共同訳聖書」は、一般的に「正典」とは認められていない「第二正典」と呼ばれるものを、「旧約聖書続編」として収録しています。最新の学問的成果をふまえて、読みやすい日本語で表現しているのが「新共同訳聖書」の特徴です。
ご紹介した4種類の聖書以外にも、「個人訳聖書」のいうものがいくつかあります。また、「リビングバイブル」のように、意訳をすることで読みやすくしている聖書もあります。
参考になる聖句
もっと詳しく知りたい方は
■翻訳が違うとはどういうことなのか、同じマタイ11:28の聖書の言葉を見比べてみると?
(文語訳)凡て労する者・重荷を負ふ者、われに来れ、われ汝らを休ません。
(新改訳)すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。
文語訳が「格調高い」と表現されるのも、納得ですね!とはいえ、意味がスッと分かるのは、やっぱり新改訳のほうなのではないでしょうか。