2013

10.18

Q.14 神様はなぜ特定の民族を選ばれたのでしょうか?

ユダヤ人は「選ばれた民」などと言われますが、本当に神は特定の民族を選んだのでしょうか。この動画では、ユダヤ民族の「最初のひとり」にスポットを当てて解説しています。
それにしても、ユダヤ民族の過酷な歴史を思うと、選ばれるのって大変だなぁと思わざるをえません。

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#14. 神様はなぜ、特定の民族を選ばれたのでしょうか。

Q. 質問

なぜ、神様はなぜ特定の民族を選ばれたのでしょうか。神様はえこひいきをするお方ではないと思いますで、なぜ特定の民族が選ばれたのか、その理由が知りたいです。

A. 回答

これは、「イスラエル民族」のことを言っているわけですね。今日の答えは、「何々ではなく何々です」という形式で3つ申し上げたいと思います。

1番目に、これは「民族の選びではなくて、個人の選び」です。

最初から「イスラエル民族」という集団がいたわけではないのです。神様が最初に選ばれたのは、個人です。神様は、「アブラハム」という人を選ばれました。そこから「イサク」、「ヤコブ」と生まれてきて、ヤコブの子孫たちが「イスラエル民族」に成長していくわけです。

神様は「取るに足りない者」を選んで、ご自分の働きをなさる。ですから、既に存在している「強い民族」を選び、彼らを用いたのではないのです。

取るに足りないところからスタートされたということ。これは、私たちにもそのまま適用できるポイントですね。私たちのような、「取るに足りない者」を神様は祝福して、用いてくださるということです。

2番目に、これは「えこひいきではなく、人類全体を祝福する計画だ」ということです。

言い方を変えると、「救いのための選び」ではないということです。「イスラエルだけを救おう」として選んだのではなく、「イスラエルを通して全人類を救おう」とされたということ。これが非常に重要なポイントです。おそらく、聖書を読むための「鍵」となる概念は、これかもしれません。

神がアブラハムとその子孫を選んだ理由は、全人類を祝福するためでした。

3番目に、これは「誇るための選びではなく、使命に生きるための選びだ」ということです。

選ばれたことを誇っていても、しょうがありません。選ばれたからには使命があるのですから、それを認識して、責務を全うすることが大事だということです。ところが、イスラエルの歴史を見ていると、神様に背を向けて国の運営が上手くいかなくなると、彼らの中に「不健康な選民意識」が生まれてくるのです。これは、「不健康なナショナリズム」と言ってもいいでしょう。ナショナリズムを鼓舞しなければいけない時というのは、どの国の場合も同じですが、非常に危ない時です。ナショナリズムというようなものは、幼子を寝かしつけるように、心の底で静かにさせておけばよいのです。

ところがイスラエルは、「自分たちこそ選びの民である」という気持ちになってしまいました。ここに、問題が起こってくるわけですね。「健全な選民意識」とは、「自分たちは全人類を祝福するために選ばれているのだ」という自覚です。その自覚を持ち続けるのは、容易なことではなかったのでしょう。

クリスチャンについても、同じことが言えます。「イエス・キリストを信じて救われた」ということも、それ自体がゴールではなく、より崇高な目的のために召されたということです。クリスチャンが生かされている理由は、キリストの愛を周りの人々にお伝えするためです。神の御心を実践することこそ、「選びの目的」です。

参考になる聖句

「【主】はアブラムに仰せられた。『あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される』」(創世記12:1〜3)

「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです」(ヨハネの福音書15:16)

もっと詳しく知りたい方は

seisho-monogatari2

■アブラハムが選ばれる場面を、歴史小説で読む!

動画でお話をしている中川健一牧師が、日本人の肚にも、聖書がスッキリ落ちてくるように、と書かれた歴史小説です。文庫版は全8巻で、すべて読むと聖書全体が分かるようになっています。写真はこの動画で触れられた、アブラハムが選ばれるシーンが入っている「族長たちの巻」 上下。(文芸社文庫刊)