【主】は、あわれみ深く、情け深い。

紀元前1000年頃のイスラエル

ダビデ王

【主】は、あわれみ深く、情け深い。怒るのにおそく、恵み豊かである。主は、絶えず争ってはおられない。いつまでも、怒ってはおられない。私たちの罪にしたがって私たちを扱うことをせず、私たちの咎にしたがって私たちに報いることもない。天が地上はるかに高いように、御恵みは、主を恐れる者の上に大きい。東が西から遠く離れているように、私たちのそむきの罪を私たちから遠く離される。父がその子をあわれむように、【主】は、ご自分を恐れる者をあわれまれる。主は、私たちの成り立ちを知り、私たちがちりにすぎないことを心に留めておられる。(詩篇103:8〜14)

神がどのような方であるかというイメージが、人の生き方を大きく左右します。もし、神が、いつも怒っていて、天罰をくだす存在だとすると、私たちは平安を持って生きていくことはできません。この詩篇はダビデ王によってかかれたものです。ダビデは神を心から愛した人物でありながら、大きな罪を犯してしまった人物でもあります。ダビデは、神は正義であると同時に、あわれみと愛に満ちた方であることを証言しています。詩篇103、全体を読んでその内容を考えてみましょう。

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1 「神の正義」の基準は「完璧」です。つまり、99の良い行いをしても1つの罪があるならば、それは義とは認められないということです。そして、罪に対する裁きがあることも聖書は教えています。残念ながら、この完璧が求められる「神の義」の基準に到達できる人間はひとりもいません。

2 同時に神はあわれみに満ちた、愛の方でもあります。「ご自分を恐れる者をあわれまれる」とダビデは唄っています。人が義と認められる方法は、旧約聖書の時代、イエス・キリストの時代、そして現代まで一貫しています。それは、神を信じ、従おうとする「信仰」と神の「あわれみ」による「罪の赦し」です。この詩篇からは、罪の赦しはダビデの個人的な体験であると同時に、人類全体、そして人類の歴史全体に関わった壮大な神の働きだということが見えてきます。「しかし、【主】の恵みは、とこしえから、とこしえまで、主を恐れる者の上にある」(17節)「【主】をほめたたえよ。すべて造られたものたちよ。主の治められるすべての所で。わがたましいよ。【主】をほめたたえよ」(22節)私たち一人一人もこの壮大な計画の中に含まれているのです。

3 旧約聖書時代の人も含め、すべての人がキリストの十字架の赦しによって義と認められます。ダビデは7節で「主は、ご自身の道をモーセに、そのみわざをイスラエルの子らに知らされた」と言っています。つまり、私たちは自分勝手な方法で「信仰」するのではなく、神ご自身が啓示された「道」を歩まなくてはならないのです。旧約聖書の中には、キリストに関する多くの預言がありますが、ダビデ自身もメシアが自分の家系から出るという約束をいただいていました。モーセを始め、その後の預言者たちが残した預言の成就がイエス・キリストなのです。イエスは自分のことをさして「私が道であり、真理であり、命です」と宣言されました。それまでのイスラエルと神との歩みがイエス・キリストという一点に集約されたのです!

4 現代を生きる私たちもまた「信仰」によって、神のあわれみと愛のゆえに神に受け入れられることができるのです。詩篇103篇全体を読んでみると、これが神の素晴らしさをほめたたえるダビデの賛歌だということがわかります。神に対する新しいイメージを持って、神のあわれみと愛に目を留めて、ダビデと共に【主】をほめたたえましょう!

 

中川 洋

この記事の執筆者

ハーベスト・タイムU.S.A.

中川 洋



						

					

もっと詳しく知りたい方は

詩篇 103篇(全文)

ダビデによる
1 わがたましいよ。【主】をほめたたえよ。私のうちにあるすべてのものよ。聖なる御名をほめたたえよ。
2 わがたましいよ。【主】をほめたたえよ。主の良くしてくださったことを何一つ忘れるな。
3 主は、あなたのすべての咎を赦し、あなたのすべての病をいやし、
4 あなたのいのちを穴から贖い、あなたに、恵みとあわれみとの冠をかぶらせ、
5 あなたの一生を良いもので満たされる。あなたの若さは、鷲のように、新しくなる。
6 【主】はすべてしいたげられている人々のために、正義とさばきを行われる。
7 主は、ご自身の道をモーセに、そのみわざをイスラエルの子らに知らされた。
8 【主】は、あわれみ深く、情け深い。怒るのにおそく、恵み豊かである。
9 主は、絶えず争ってはおられない。いつまでも、怒ってはおられない。
10 私たちの罪にしたがって私たちを扱うことをせず、私たちの咎にしたがって私たちに報いることもない。
11 天が地上はるかに高いように、御恵みは、主を恐れる者の上に大きい。
12 東が西から遠く離れているように、私たちのそむきの罪を私たちから遠く離される。
13 父がその子をあわれむように、【主】は、ご自分を恐れる者をあわれまれる。
14 主は、私たちの成り立ちを知り、私たちがちりにすぎないことを心に留めておられる。

15 人の日は、草のよう。野の花のように咲く。
16 風がそこを過ぎると、それは、もはやない。その場所すら、それを、知らない。
17 しかし、【主】の恵みは、とこしえから、とこしえまで、主を恐れる者の上にある。主の義はその子らの子に及び、
18 主の契約を守る者、その戒めを心に留めて、行う者に及ぶ。
19 【主】は天にその王座を堅く立て、その王国はすべてを統べ治める。
20 【主】をほめたたえよ。御使いたちよ。みことばの声に聞き従い、みことばを行う力ある勇士たちよ。
21 【主】をほめたたえよ。主のすべての軍勢よ。みこころを行い、主に仕える者たちよ。
22 【主】をほめたたえよ。すべて造られたものたちよ。主の治められるすべての所で。わがたましいよ。【主】をほめたたえよ。