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レシピのはじめに。 バイブルから学ぶ人生の戦略

「自分に関係のない争いに干渉する者は、通りすがりの犬の耳をつかむ者のようだ」

 

「犬の耳をつかむ」とは、絵画的で面白い表現ではありませんか。実はこれは、バイブルの中の『箴言』という書に出てくる警句です。通りすがりの犬の耳をつかむと、どうなりますか。犬はただちにこちらの方を振り向いて、飛びかかってきます。余計なことをしたために、大怪我を負うことになります。つまりこれは、自分に関係のないことからは距離を置け、という教訓なのです。このように、バイブルには身近な例を用いて人生訓を語っている箇所がたくさんあります。

 

『箴言』は、人間関係の原則を教えたもので、現代に生きる私たちが読んでも益するところ大です。人間関係の複雑さ、難しさは、3000年前のソロモンの時代から変わっていないことを痛感させられます。

 

ところで『箴言』は、別の側面から見ますと「人生のサバイバル・マニュアル」としての要素を持っています。古代の中近東に生きていた人々は、近代国家に生きる私たちのように国家権力や警察権力によって守られていたわけではありません。平和な時代なら、ある程度の安全は保障されたのでしょうが、基本的には、彼らは「自分で自分を守るしかない」社会に生きていたのです。王を初めとする権力者を怒らせることは、身の破滅につながりました。また、隣人とのいさかいは極力避けなければ、いつ武力抗争が始まるかもしれません。さらに、外部の敵が攻めてきた場合は、隣人との連携によって防衛する必要が出てきます。そのためにも、隣人との調和を第一とした生き方が求められたのです。

 

『箴言』は、古代の人々にとってまさに「人生のサバイバル・マニュアル」であったわけですが、視点を広げてみると、バイブル全体がいかに生きるべきかという戦略を教えているとも言えます。もちろん私たちは、古代の人々が経験したような戦いをそのまま通過しているわけではありませんが、かといって、無風状態の中を生きているわけでもありません。現代にも、政治的、経済的、物理的、精神的戦いはあります。ある意味では、社会が複雑化した分、昔の人たちよりもより激しいストレスに晒されているとさえ言えるのです。

 

本書は、世界のベストセラーと言われるバイブルから、「人生の戦略」を学ぼうとするものです。代表的なものとして、20の法則を上げてみました。これらの法則はすべて、

1. 自分を生かし、他人を生かすものです。

2. 単にサバイブ(生存)するだけでなく、生きる意味を教えてくれるものです。

3. 実践する人に、力と勇気を与えてくれるものです。

 

各章の終わりに、「この章のポイント」を掲げました。学んだことを確認し、それを実践するためのヒントとなりますように。