ミシュナ(みしゅな)

ミシュナとは、「くり返しによる教え」という意味のヘブル語です。

(1)ミシュナは、前5世紀から紀元2世紀までの律法の解釈と口伝律法の集大成です。紀元1世紀頃のタンナイム(賢人達)であるヒレルとシャンマイの解釈が中心になっており、ユダ・ハ・ナシが2世紀に編さんしたものです。従って、イエスの時代には、ミシュナはまだ文書化されておらず、口伝律法の状態にとどまっていました。

(2)後になって、ミシュナの注解が書かれます。それが、ゲマラです。ゲマラは、アラム語で「完了」を意味する言葉です。パレスチナ系のゲマラは、390年にテベリアで編さんされ、バビロニヤ系のものは、500年頃に、ラビ・アシュとその弟子のラビ・ヨセフによってまとめられました。

(3)ユダヤ教の経典であるタルムードは、前5世紀から1200年かけて議論してきた律法解釈の集大成のことです。ミシュナがその中心にあり、ゲマラと中世以降のラビの注解がそれにつけ加えられています。タルムードには2種類あります。エルサレム・タルムード(5世紀)と、バビロニヤ・タルムード(6世紀)がそれです。後者はアラム語とヘブル語で書かれており、分量的には前者の3倍もあります。普通タルムードと言えば、後者を指します。

出典:クレイ聖書解説コレクション「マタイの福音書」